モスクワで最もにぎやかなプーシキン広場に立つ11メートルの像で盗難が起きたのは、今年2月。18本の花崗岩(かこうがん)の柱につながれた、月桂樹(げっけいじゅ)の葉をかたどった鎖と輪の計16点が盗まれた。重さは500キロにもなり、モスクワの相場で約4万ルーブル(約18万円)でくず鉄商に売り払われたと見られている。
発見が遅れたのは、深夜ひそかに鎖を切った犯人が跡に雪を積んで隠したためらしい。発覚後も像を管理する市が公表せず、本社が広場に面するイズベスチヤ紙が21日に報じるまで、大半の市民も気がつかなかった。
市民の募金で1880年に建てられた像は、除幕の記念に作家ドストエフスキーが「その天才は全世界性と全人類性を示す」とプーシキンをたたえる名講演をしたことで知られる。来月6日にはプーシキン生誕208年、銅像の建造から127年を迎え、像のまわりはその詩を朗読する人らが集まる。しかし精巧な型板をつくって鎖と輪をつくり直すのは時間がかかり、前の姿にいつ戻るのか見通しは立たない。
モスクワではここ数年の間に中心部でエンゲルス像の高価な台座の石の一部が盗まれたり、19世紀の文芸批評家チェルヌイシェフスキーの像が警報装置で危うく盗難を免れたりするなど、記念像がらみの事件がほかにも多発している。(asahi.net)

